関連意匠制度を上手に用いた戦略的な意匠権の取得とは

 
(1)製品の見た目(デザイン)については、特許庁に意匠登録出願することで、他人の模倣を防止するための一つのツールとしての意匠権を取得することができます。

(2)新たなアイデアを考えた場合に、特許出願又は実用新案登録出願のみを考えがちですが、これらの出願により取得できる特許権及び実用新案権には、簡単に言うとその発明を用いる製品の技術分野の者が従来からある技術に基づいて簡単に思いつくものは有効な権利として取得又は認めないという進歩性という要件が必要とされています。

 
(3)経験的には、この進歩性とのハードルをクリアできないものも多いのが実情であり、他人の模倣を防止するためのツールの一つとして、製品の見た目(デサイン)が今までにないものであれば、意匠権の取得を考えられるのもよいと思われます。
 但し、この意匠権が1件だけでは、その権利範囲があいまいなために、他人が後から出願した比較的似たような意匠が権利化されるおそれがあります。
また、1件だけ取得した意匠権に基づいて他人の模倣を排除しようとする際に、意匠権の権利範囲がどの程度まで似ていると意匠権の効力範囲に入ってくるかがあいまいなために、その1つの意匠権により他人の模倣が止めにくい場合も見られます。


 
(4)この場合、互いに似通った複数の意匠のうちの一つを本意匠とし、その他の意匠をその本意匠に似ているとする関連意匠として意匠登録出願できる制度を用いて、以下の図のようなイメージで権利化を行うことにより、どの程度似ていれば本意匠の権利範囲に入ってくるかを判断するための有効な資料を入手することができます。
また、以下の図のように複数の意匠権によって他人の模倣を排除できる範囲を広げることができます。


このような戦略的な出願を行うことによって、一定の範囲の製品のデザインについて独占できることになります。


(5)このような戦略的な出願は、意匠の類否判断ができないとご提案できないものです。

意匠権によって他人の模倣を排除したいとお考えの方は是非とも、本意匠と関連意匠の戦略的な出願について相談したいとご連絡下さい。




売れてからでは遅い意匠権・特許権取得のタイミング


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◆アジア諸国への進出における外国商標と外国意匠の重要性について
 ◆主要なアジア諸国の意匠制度の概要(DESIGN)

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