特許・意匠・商標とは?

  青色発光ダイオードの日亜化学の例を挙げるまでもなく、中小企業が大きな会  社を相手にして、市場で優位に立って、やがて大企業の仲間入りをするには、特  許などの独占権を持つことが不可欠と言えます。会社を大きくする種ともなる特  許、意匠、商標とは、どんなものなのでしょうか...簡単にご説明します。

 1.特許
  洗濯機の水槽に浮かべてゴミを取る「ゴミ取り網」は、家庭の主婦の発明品で  した。空前のヒット商品で、ひと頃は日本中の洗濯機の水槽に使われていました。  この主婦の方のように、それまで誰も知らない、どのような本にも載っていない  新しい製品を開発すれば、特許を取ることができます。   特許を取れば、自社の発明品をよその会社にマネされずに売ることができます。  市場競争で優位に立つことができ、会社を大きく成長させることができます。自  社で商品化できなくても、大手の会社に自社の特許を使わせて収益をあげること  もできます。ライセンスといいます。中小企業が、大企業と市場競争をしたり、  協力関係を結んだりするときに、互角に相撲を取るためには、特許はなくてはな  らない武器となります。   特許を取るためには、特許庁へ出願をしなくてはなりません。それには、生み  出された発明を文書や図面に詳細に表して、特許庁へ提出する必要があります。  しかし、出願しただけでは、特許はもらえません。出願の日から3年以内に、特  許庁へ審査請求をしなくてはなりません。   審査請求をすると、特許庁の審査官が出願を審査します。審査官は沢山の文献  を調べて、出願された発明が本当に新しいかどうか、簡単には思いつかないもの  かどうか、などを審査します。そして、審査にパスしたものだけが特許されます。  特許されれば、出願の日から数えて20年後まで特許権を持ち続けることができ  ます。   自社で新しい工夫が生まれたら、出願するまで社外には秘密にしておくことが  大切です。出願する前に発明品を商品にして売ったりすると、特許を取ることが  できなくなります。特許は、未だ誰も知らない新しい発明を世に送り出した者に、  独占権(独り占めできる権利)という報償を授けることで、発明を奨励するもの  だからです。


 2.意匠
  同じ洗濯機の「ゴミ取り網」であっても、見た目に美しい形にしたり、飾りを  付けたりすれば、買い手の購買意欲を高めることができます。製品のデザインに、  それまで誰も知らない、どのような本にも載っていない新しい工夫を行ったなら、  意匠登録を受けることができます。   意匠登録を受けると、自社がデザインした商品を誰にもマネされずに売ること  ができます。それによって、市場競争で優位に立つことができ、会社を大きく成  長させることができます。特許と同じように、自社で商品化できなくても、よそ  の会社に自分の意匠権をライセンスすることによって収益をあげることもできま  す。   意匠登録を受けるためには、特許庁へ出願をしなくてはなりません。それには、  生み出されたデザインを文書や図面に表して、特許庁へ提出する必要があります。  特許とは違って、審査請求をしなくても出願をすれば、特許庁の審査官が出願を  審査します。     審査官は沢山の文献を調べて、出願されたデザインが本当に新しいかどうか、  簡単には思いつかないものかどうか、などを審査します。そして、審査にパスし  たものだけが登録されます。登録されれば、特許とは違って、登録の日から15  年後まで意匠権を持ち続けることができます。   特許と同じく、自社で新しいデザインが生まれたら、出願するまで社外には秘  密にしておくことが大切です。但し、意匠の場合には、デザインした商品を売っ  た後でも半年以内であれば、それを証明する書類を提出することによって出願す  ることができます。商品のデザインは、売れ行きを試してから決める、という業  界の慣行があるからです。


 3.商標
  同じ洗濯機の「ゴミ取り網」であっても、他社が作ったゴミ取り網と自社が作  ったゴミ取り網とを、買い手に見分けさせる必要があります。そのために、商品  に自社の名前を付けたり、商品の名前を付けたりする必要があります。例えば、  「ぷっかりクリーン」(仮名)という名前を付けたりします。このように、よそ  の商品と自社の商品とを区別するために使われる名前や記号などを「商標」とい  います。   同じ商標を同じ商品に使い続けると、その商品を使って満足した買い手は、次  回もその商標を目印にして同じ商品を安心して買い求めるようになります。その  商標と一緒に、良い評判が買い手の周りにも広がってゆきます。このように、商  標は使い続けることによって、メーカーや商品の信用が載っかって、顧客を引き  寄せる力を高めてゆくことになります。芸能人の顔と同じように、商標はメーカ  ーや商品の「顔」となり、貴重な財産となります。   商標は、商標登録を受けることで、他社にマネされずに自社だけが独占して使  うことができるようになります。貴重な財産をよそに奪われることなく、安心し  て膨らませて行くことができます。逆に商標登録を受けていないと、似たような  商標について他社が登録を受けることによって、自社の商標が使えなくなったり  します。せっかく膨らんだ財産が台無しになります。メーカーの信用も損なわれ  ます。   商標登録を受けるためには、特許庁へ出願をしなくてはなりません。それには、  自社で選んだ商標と、どんな商品やサービスに使うかを書面に表して、特許庁へ  提出する必要があります。意匠と同様に、審査請求をしなくても出願をすれば、  特許庁の審査官が出願を審査します。   審査官は既に登録されている商標などを調べて、出願された商標が他社の登録  商標と紛らわしくないかどうか、などを審査します。そして、審査にパスしたも  のだけが登録されます。登録されれば、登録の日から10年後まで商標権を持ち  続けることができます。特許や意匠とは違って、商標権は10年ごとに更新する  ことができますので、永久に持ち続けることもできます。                         (2006年11月更新)
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